「この世界の片隅に」は実話なのかな?すずが実際に存在しているように感じるリアルな物語

周作 リン すず 水原 日記

「この世界の片隅に」、一度じっくり読んでみたいと思っていたところ、図書館で全巻揃っているのを見つけて借りて読んでしまいましたー。

アニメ映画化の時の評判も良く、実写ドラマ化もされましたね。

ドラマの方は、原作に忠実なところとオリジナルな部分が混ざった感じですが、原作を読んだ者としても違和感なく楽しめました。

で、今回はその原作漫画の方の感想を書きたいと思います。

原作漫画「この世界の片隅に」のレビュー

主人公のすずさんが、とにかくとっても良いキャラクター。

絵を描くのが大好きで、家族には天然扱いされるようなちょっとおとぼけなところが愛嬌があって、そうやって生きている姿は本当に真摯で。

つい、「生きている」と書いてしまいましたが、何だか身近に感じてしまって実際に存在したのではないかと感じさせるような、今の現代を生きる私たちと何ら変わりないことで悩んだり、笑ったりしているのが、とてもリアルに描かれています。

「この世界の片隅に」は実話なのでしょうかね?

私は学生時代から古典が好きなんですが、昔も今も、同じように人々がそれぞれの生活を送っていたんだなぁと感じる文章を読むと、とても親近感を覚えたのですが、それに似ています。

でも、すずさんが生きていた時代は、今より100年もまだ経っていない、私の亡くなった祖母が同年代で生きていた時代。

だからより親近感を覚えてしまうのでしょう。

すずさんの義姉の径子さんに共感

それにしても、すずさんは自分に与えられた運命を懸命に生き、戦争という時代を生き抜くわけですが、今まで私の中にあった「戦時中」というイメージとはややかけ離れた印象の中で物語は進みます。

実際、すずさんのお兄ちゃんを始め周りの人は戦地に赴くし、お兄ちゃんは石ころ一つ入った箱の姿で帰ってくるなんていう切ないエピソードもあるのですが、そういったシーンも何だかおもしろいシーンとして描かれています。

これは作者の意図なのかもしれませんが、戦争というととにかく悲しく、悲惨、という強いイメージがある中で、当時の人たちは現実を直視しながらもどこか現実感がなかったのかも、と思わせられるんですよね。

親しい人が死ぬ、ということがどこか現実感がないという経験は私にもありますし、戦時中という状況下で常に死というものがリアルに迫っているとしたら、自分ならどう日々を過ごすだろうかと、おのずと考えさせられます。

とりあえず、今の生活と同じように、毎日の家事をこなしながら、食べるものに悩んだり、足りないものをどうやって工夫しようか考えたり、そういう現実的なことは日々こなさなくてはならず。

そういう目の前のことで頭をいっぱいにして、辛い現実から逃れていたかもしれない。

こういうところは、すずさんの義姉の径子さんに共感してしまうところがあります。

辛辣な物言いですずさんの敵のようでいて、夫と娘との死別や、息子との別離、義実家との確執など、自分では抱えきれないものをたくさん持って生きている径子さんもまた、漫画では自分の感情を出す描写はほとんどないのですが、その気持ちにそっと寄り添うすずさんの視点も描かれているから伝わってくるものがあるんですよね。

年齢的には私は径子さんの方が近いし母という立場も同じなので、娘の晴美さんを亡くす経緯はとても胸が締め付けられます。

すずさんにとっても本当につらい出来事でもありました。でも、誰も悪くない。

淡々とした描写の中に、抗えない戦争というものの絶対的な「悪」が強烈に伝わってくるのです。

すずと周作の結婚、そしてリンとの男女関係

主人公のすずさんは、周作さんに見初められ、周囲の勧めるまま結婚します。

幼少期に一瞬とある出来事にすずさんと周作さんは巻き込まれるのですが、周作さんは、そのままずっとすずさんのことを想っていたのかは不明ですが、すずさんの実家に結婚の申し出をしにやってきます。

ドラマ編では適齢期となった周作さんが結婚相手の候補としてすずさんを思い出した風に描かれていますね。

夫である周作さんは多くを語りませんが、優しくすずさんのことを大切に思っていることが伝わってくるのですが、それでもすずさんは自分で気づかないうちにはげを作ってしまうほど気を使いながら北条家の嫁として毎日を過ごすことになります。

まあ、当時はこういった相手の顔も知らずに結婚というのもめずらしくはないのでしょうけど、夫も含めて知らない人だらけの家で、それでもすずさんは淡々と毎日を過ごしているように見えますが、そんな中で小さな波風が経つ出来事が起こります。

いわゆる男女関係ですけど、まず周作さんにはリンさんという女性と過去男女関係があったようで、そのことをすずさんは間接的に知ることになり、また、お互いに打ち解けて親交を深めていくという不思議な出会い方もするのですが。

お付き合いをしていたわけでもなく、幼少期の出会いがあったとはいえ、結婚がほぼ二人の出会いですから、すずさんは自分の知らない周作さんの過去を知ることで、少なくないショックを受けているような描写があります。

それもそのはず、すずさんは結婚してから周作さんを好きになっているようなんですよね。日々確実に。

なぜ周作はすずを水原さんのところに?

自分を嫁に欲しいと言ってくれて大事にしてくれる夫に、結婚してから恋しているようなすずさんがかわいらしく、それはそれで素敵だな、と思っていたら、私には解せない出来事が起こるんですよね。

それは、すずさんの同郷の幼馴染の水原さんがすずさんを北条家に訪ねてくる、という場面。

水原さんは自ら志願して戦死した兄に変わって水兵として戦地へ行っているのですが、一時上陸した折に、すずさんを訪ねてくるのです。

この水原さんとすずさんの関係性は、何となく、2人とも憎まれ口をたたき合いながらお互い意識していた、つまり好き同士だったようなんですよね。

はっきりすずさんは意識してなかったようですが。

そんな水原さんが北条家に泊まるということで、周作さんは離れの納屋に泊まるように水原さんに言い、そこへ夜寒いだろうからとアンカをすずさんに届けさせます。

家に鍵までかけて。

このことにすずさんは傷つくのですが、2人はそういう雰囲気になりつつも話しながら夜は明けるのですが、後日すずさんは、自分に子供ができないからいい(すずさんはなかなか子供ができないのを気にしている)とでも思ったのかと気持ちをぶつけますが、周作さんは本当はあの人と結婚したかったんだろう、と言います。

やっぱり周作さんの気持ちが私には理解できなくて。やきもちを妬いているのはわかるけど、なぜ大事な妻を…そこまでする?と。

夫とこのことについて話して気づいたのですが、すずさんは意外と本当に水原さんと結婚したかったのかもしれず、周作さんはそれを見抜いていて、もう会えないかもしれない=いつ死ぬかわからない水原さんと一晩でも夫婦のように過ごさせたいと思ったのかもと。

周作さんにはすずさんを無理に自分のところに嫁がせてしまった、という負い目もあるようですし、自分は兵役には付けず、水兵として堂々とふるまう水原さんにプライドを傷つけられたのかも、とも思いますが、やっぱりちょっと複雑な気持ちですね。

今回は漫画「この世界の片隅に」の感想を書きましたが、今後は「この世界の片隅に」のラストシーンやハルさん、お兄ちゃん、唐田えりかが出演していた役、そして実話を基にした漫画なども紹介していけたらと思います。

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